- タイトル
- Anharmonic lattice dynamics study of phonon transport in layered and molecular-crystal indium iodides
- 著者
- Takuma Shiga*, Yoshikazu Mizuguchi, and Hiroshi Fujihisa
- 雑誌情報
- Journal of Physics D: Applied Physics 59 (10) , 105303 (2026)
- DOI
- 10.1088/1361-6463/ae4a36
- URL
- https://doi.org/10.1088/1361-6463/ae4a36
概要
本研究では、組成により層状構造(InI)または分子結晶的構造(InI3)をとるインジウムヨウ化物を対象に、第一原理に基づく非調和格子動力学計算によりフォノン熱輸送を体系的に解析しました。粒子的輸送(Peierls-Boltzmannに基づく寄与)と、波動的輸送(バンド間トンネリングに由来する寄与)を比較した結果、いずれの物質も広い温度域で格子熱伝導率が 1 W m-1 K-1 未満に留まることを示しました。さらに、波動的寄与は InI3 では粒子寄与と同程度まで重要になる一方、InI では小さいことを明らかにしました。また、実験で報告されている高圧相 InI3 について、積層欠陥や In サイト占有の不規則性が示唆されている点に着目し、積層順序の異なる複数の秩序化モデルを構築して安定性と熱輸送を評価しました。その結果、積層順序によるエネルギー差・熱伝導率の差はいずれも小さく、面内熱輸送は積層の違いよりも In2I6 層そのものの振動特性に主として支配されることが示唆されました。本研究は、東京都立大学・水口准教授らの研究グループおよび産業技術総合研究所 物質計測標準研究部門 先端熱解析研究グループとの共同研究成果です。